なんか貴重本だと聞いて慌てて買ったものの、ずーっと放置してました。思ったより手に入りにくいものでもなさそうです。
新選組の哲学 福田定良 中公文庫
哲学者である著者が、ある新選組ファンの老人が見たという夢の話をまとめたもの。珍しい形式ですよねー。夢の話の部分は、完全に小説になっていて、その前後に老人と著者の対話が入ります。
小説のところは、著者があとがきでも言っているように、司馬遼太郎の作ったキャライメージまんま!あと、沖田と斉藤がやたら出張ってて仲がいいのが、ちょっと気になるところです。いや、別に批判とかではなくてね。でも沖田はほとんどすべての話に出てるんじゃなかろうか…。ほんと、沖田沖田沖田!この老人は沖田ファンか、老人なのに(どんな偏見だよ!)
夢の話なので、史実の事件の話などはあまり関係ありませんが、その話の間から個々のキャラの心理が浮かび上がってくるような感じ。そこらへんが「哲学」なのかなあ…。
とりあえず、土方メインのお話は2つです。「土方のタトエ話」と「土方歳三の癖」
どっちも(無理矢理)分類するなら沖土(笑)
「土方のタトエ話」のほうは、土方が沖田に浮気の話をしだして、散々困惑させてるんですが、その沖田の困惑をよそに勝手にべらべらしゃべってる土方がなんかかわいい…。
自分が妻だとして、夫が浮気をしている場合どうするか?という話になるんですが、土方さんならどうするのかと沖田に尋ねられて、土方は「相手の女を斬る」と即答。
土方ったら、近藤さんを夫と見立てて言ってるのか…!ていうか、妻気取りか!(笑)
でもその後沖田に、そんなことしたら亭主に捨てられる、と言われ、そのときは亭主も斬るとか言ってるので、結局ただの恐妻…(笑)
「土方歳三の癖」は、切ないといえば切ないんでしょうが、なんたってその癖が鼻くそほじりなんで、なんとも…。うーん、アイドルは鼻くそなんてないんだよ…!と老人に言いたい(笑)
あとは、近藤メインの話なんですが、「おれには見えない」。これが近藤土方の夫婦っぷり、というか土方の妻っぷり?が炸裂しててちょっとよかったです(笑)
土方がなんか、近藤を慰めるのに必死で本当に妻のよう…。でも最後はちょっと切ない。
この本、面白いんですが、登場隊士数が少ないのと、京都時代メインなんで私の萌えどころには微妙にずれているのがちょっと痛い。でも京都時代がお好きな方と斉藤、沖田のファンにはよいと思います!しかし、心情が解説されてるので、なんとなく萌えー!というものはあまり見つけられない…、妄想の余地がちょっと少ないかもしれません。