土方目当てに読み始めたら、なんだかあっという間に読了してました。しかし、なんか「適塾の維新」に似てる…。
みぶろ 奈良谷隆 ベスト時代文庫
主人公は、桂珍平と坂本朝太という漫才コンビ。勿論、オリキャラです。この2人が間違って新選組に入隊するところからお話が始まります。
全3話の連作になっていて、それぞれ概要は
「笑わぬ男」絶対に笑わない土方を笑わそうと必死になる話
「怒らぬ男」絶対に怒らない嘉納治五郎(柔道の父と呼ばれる講道館柔道の創始者らしい)を怒らそうとする話
「泣かぬ男」学生時代の夏目漱石のこと。泣かせようとはしてない(笑)
とこんな感じ。
全部繋がっていて、時系列もちゃんとなっています。なので、なんか3作目の話になっても「元新選組」って本人たちは言っているし、斉藤は出てくるし(笑)、ちょっとうれしい。
さてさて、やっぱり注目すべきは「笑わぬ男」でしょう。
珍平と朝太は、間違えてわけも分からぬままに、池田屋直後の新選組に入隊します。しかもなんだかちゃっかり三番隊配属(笑)剣術も何もできないのに、おかしい…とは思いますが(てか、入隊試験が超適当なんです)そこはまあご愛嬌?みたいなことで。
ここの斉藤は、一言で言うと普通の人(笑)強烈なキャラではないです、言うこともまともだし、普通にやさしいし、面倒見がいいし、よくしゃべるし、なんかその辺ちょっと新しい斉藤キャラかも。
そして、土方!かわいいんです!
初登場時はこれ。朝太は夜厠に行こうとして、廊下で近藤さんをふんづける。でも近藤さんは怒らないどっかへ行ってしまうんだけれど、そこへにゅっと土方が現れて、「いま見たことは誰にも言うな」って言って消えていくという。
土方ったらなんで、お前夜中の近藤さんの行動見張ってるんだ…!(笑)そんなに心配か!?
これは、単に落書きしている近藤の姿が恥ずかしかったので、土方が見てられなくなって口止めしたってだけなんだけど、ああもう、今更だけどお前ほんと女房だな…!
土方の近藤プロデュース計画には、落書きしてる近藤はありえないんだよね。
そしてお次が、厠を覗かれる土方。
覗いてるのは主人公たちなんですが、土方の色白の尻を見て「いろっぺえ」とか言ってるよ…!生唾飲んでるんですよ…!
うおー。私も見たい…!見たい!(やめなさい)
そしてそして、好きなシーンが、道場の片隅に面をつけたまま座り込んでる土方。土方いるのに、おとなしくて誰も気づいていないという。で、それ見つけた朝太が、「一手お願いしたい」というので、仕方なく打ち合うも、朝太の一本が入って、土方すぐにぶっ倒れちゃうんですよ!んで、面をとってみたら、なんと風疹だったという。
発疹のできた顔を見られるのが嫌で、おまけにしんどいので、面被って隅っこでおとなしくしてたんだって…!もうかわいい…!かわいすぎる、このせんせ…!
沖田も言ってたけど、ほんと、おとなしく寝てろよ…!って思うんですが、なんか土方の美学にあわんのでしょう。あーもう、ほんとにかわいい奴だ。
こんな明るい話なんですが、基本的には史実に沿ってるので、箱館にも行きます。さらっとですが(笑)土方は最後までかわいい。これもっと真剣に(って言ったら失礼だろうか)史実に沿って、じっくり書いていってくれたらきっと素敵な本になると思うのですが。ほんと土方かわいいし。(そればっか)
何にせよ短いので残念です。
斉藤は最後まで出てきます。あとは永倉がちらっと2話あたりで。
ほかは明治なんでまあ、新選組色は薄い(というかほぼない)んですが、永昌寺時代の講道館のメンツとか普通にホモを連想させて楽しい。お兄ちゃんたちがいっぱい共同生活してるんだよ…!(それか)